外反母趾の原因
女性、遺伝、ハイヒールが三大原因であると言われている。
女性に外反母趾が多いのは、女性がハイヒールや先細の靴を履く傾向が大きいことも原因であるが、裸足で生活する民族の調査でも男性よりも女性に外反母趾が多く見られるため女性ホルモンの関与も指摘されている。
遺伝と外反母趾との関係は香港で調査が行われていて、遺伝はハイヒールよりもはるかに大きい外反母趾の原因であることが指摘されている。
ハイヒールが外反母趾の原因となるのは
(1)足が前滑りして、足先が靴先に押し込まれる。
(2)ヒールが高くなるにつれて、足先にかかる体重の割合が増える。
(3)第1趾の中足趾節関節の背屈の角度と、足関節の底屈の角度が大きくなるため、中足趾節関節の両側の靭帯が弛んで不安定になり、かつ足の横アーチに関与する筋肉が弛むため開張足になる。
という3つの理由にある。
次の図のように、足の骨模型を見ていただくと良くわかります。開張足となってしまった足は、足の甲にアーチがなくなり、足の指同士が広がった状態になっています。
足が平らになると聞くと、「扁平足(へんぺいそく)」と勘違いする方が多くいらっしゃいますが、「開張足」と「扁平足」は大きく違います。「扁平足」とは、縦のアーチがくずれ平らになってしまった足を言いますが、「開張足」とは、横のアーチがくずれ平らになってしまった足をいいます。
本来、足には3つのアーチというものが存在します。人の足は、3つのアーチがあるおかげで、体重をささえ、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりといった複雑な動きに対応できるようにできています。
この3つのアーチをもう少し詳しく見ていくと、1つ目は「内側縦のアーチ」、2つ目は「外側縦のアーチ」、3つ目は「横アーチ」です。開張足とは、3つ目の「横アーチ」が崩れてしまった状態の事を言います。外反母趾の人の足には、この横アーチがなく、平らになっています。あなたの足も比べてみて下さい。かならず、上の写真のように、開張足になっているはずです。
図を使いながら、もう少し具体的に説明しましょう。
・正常な状態。足の筋肉がそれぞれバランスをとって、指を様々な方向へ動かせるようになっている。
・開張足になり足の横幅が広がる事によって、「親指を曲げる筋肉」と「親指を伸ばす筋肉」が、弓の弦のように引っ張る事で、親指が曲がってしまう。
・さらに、「親指を他の指に引き寄せる筋肉」が、引っ張る事で、親指の曲がりが進行し、捻れも発生する。
このメカニズムは、小指が曲がってしまう「内反小趾」の場合も全く同じです。よく、外反母趾になるから、内反小趾になってしまうと勘違いする人がいますが、「内反小趾」も「外反母趾」も「開張足」が起こり、筋肉が指を引っ張る事が原因で起きる症状なのです。
ハイヒールや足にきつい靴を履くことで、外反母趾の進行を早める事はありますが、根本の原因ではありません。外反母趾は、まず足が「開張足」になることで起こる症状であるという事実を、しっかりと理解して下さい。
当院の対策
1.特にマッサージ、ストレッチ
特にマッサージ、ストレッチを行って、関節部の柔軟性を取り戻し、筋肉が動きやすい状態にすることが大切です。ストレッチを行うことで筋トレ効果も上がっていきます。
2.テーピングやサポーターで痛みの緩和をすることはできます。
しかし曲がってしまった関節を治癒するまでは至りません。あくまでもサポートをしてくれるだけのものです。
3.足裏の筋肉を鍛える(筋トレ)ことも有効です。
タオルトレーニングは、ただ、足の指でタオルを引っ張れば良いというものではありません。外反母趾の原因である「開張足」を治すために、第3関節を柔軟にし、横アーチ筋を鍛える事が目的なのです。
4.靴をかえること
靴選びは?単に幅広でゆるい靴では、靴のなかで足が安定しないので望ましくありません。足のうらを支える特別なアーチのある専用靴や中敷きの利用がおすすめです。靴をはいて歩いてみて、赤み、痛み、むくみ、疲労感を感じたら、その靴はあっていないと判断できます。
ちなみに、私が患者さんにお勧めしているのは、靴底が柔らかく、靴紐がしっかり締められる物です。これは、正しい歩き方をした時にしっかりとその感覚が、分かるようにする為で、特に特殊な靴を履く必要はなく、これくらいで十分だと指導しています。